六寸 盌 練上 スリップウェア 2013春
立杭の清水俊彦師匠のところにいた弟子時代にある時師匠が練り上げをやりたいとおっしゃったことがありました。
暑い季節に大汗をかいて土揉みを繰り返し、粘土板を作って積み上げては切って伸ばしてまた積み上げてと。
師も練り上げを作るのはその時が初めてで、一体どうやればどういう紋様が生まれるのだろうかとあれこれ言いながら二人で試作したのは良い思い出です。
その時には確か六角形や四角の大きな蓋物などをいくつか作られました。
それは轆轤ですっと形を作るのとは比べ物にならない時間と手の掛かる仕事で、残った切れ端の部分も惜しんで大鉢の部分に嵌め込んだりされていたのを覚えています。
さらに少し残った部分を自分も使わせていただいて削り出しの灰皿を一つ作りました。
陶硯を作りたいと思ったのですが大きさが足りなかったのです。
面白かった結果と大変だった作業の記憶の印象が強くて、興味は大いにありながらなかなか独立後は手を付けられず先送りにしていましたが、今回の個展を機に少し自分なりに工夫しながらやってみました。
スリップウェアのような紋様を練上で、という計画は乾燥や窯の中での傷や歪みで相当のロスが出ました。
わかっていたことではありますがさらに慎重にじっくりと作業を進める必要があると改めて思いました。
これもまたいずれじっくりと取り組んでみたいと思っています。