ここで独立後今までずっと使ってきたのは焚口から煙り出しまでが筒抜けの直焔式の単室登窯でした。 これはバリバリと強い火熱が煙や灰とともに噴きつけるプリミティブな窯でしたが、魅力的な焼き上がりと引換に相当の焼け過ぎや焼けむら、焼け歪み、焼け傷なども出るものでした。 朝鮮時代の粉青、初期唐津、江戸以後の丹波など焼け味のうつくしい陶器のことごとくがこういう窯から生まれた以上は自分もこういう窯で仕事がしたいと願ったのです。 素焼き無しで釉薬を生掛けにしたスリップウェアなどの型物の多くは一方向から吹き抜ける炎でポテトチップスのように反り返りなかなかにロスも多かったのですが激しくもうつくしいこういう直焔式の窯の焼き上がりに自分は満足していました。 しかしながらこの窯の隣にはただ焼きあげるだけで精一杯のこういう窯だけではなくやはり酸化や還元をあるいは温度分布をコントロールしながら焼ける素焼きにも本焼きにも使える倒炎式の小さな窯を作りたいとも早くから計画していたのです。 この計画がなかなか実現しないままに年月が経ちようやく今月になって仕上がった時には当初つもりしたものよりもかなり大きいものになりました。 遅れに遅れた計画が実現したのは生の土を型で固めて作った直焔式の窯は修理しながら使ってきたのですがかなり痛んできたことと、去年の春から若い人が共に仕事をしながらやきものを学びに来てくれるようになったことが契機になりました。 ようやく出来上がった窯に日をおかず初窯を焚いたのが4月の16,17の両日でした。 煙突の具合などに若干の不安もあったのですが、作業は予想以上にスムーズに運びあっけないほどに順調に焚き終えたのです。 初めての窯をこの先どのように工夫しながら使いこなしてゆくかというのはこれからの課題だと思っています。
by slipware
| 2012-04-24 23:12
| 窯のこと
|
リンク
タグ
カテゴリ
以前の記事
2019年 12月 2019年 07月 2019年 04月 2019年 02月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 06月 2018年 04月 2017年 12月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 02月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 08月 2016年 05月 2016年 04月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 05月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 12月 2013年 11月 2013年 10月 2013年 09月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 06月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 04月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 02月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 01月 2007年 08月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 02月 2006年 12月 2006年 10月 2006年 07月 2005年 12月 2005年 06月 2005年 04月 2005年 02月 2004年 12月 2004年 09月 最新のトラックバック
検索
translation
その他のジャンル
外部リンク
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||