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Meetsとクロワッサン

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ただいま発売中の『Meets275号』に神戸六甲のフクギドウさんが、また『クロワッサン803号』に京都寺町二条の大吉さんがそれぞれ紹介されているのですがその写真や記事の中でぼくのスリップウェアを紹介してくださっています。
今までほとんどこういうメジャーな雑誌に出ていなかったのですが偶然にも同時期になりました。
Meetsの方は店内写真と雑誌スタッフの買い物のコーナーで、クロワッサンの方は大吉さんの紹介ページに大写しに2点のスリップウェアが出ているのですが、実はこの内ひとつはサンプルにお預けしていた自家用にさんざん使い込んだものなのです。

下の写真の角鉢がその現物なのですが、2年間このようにシェパーズパイやグラタンなどを作ったり鶏肉や豚肉などを焼いたりオーブン料理にも何度も使ったものですので染みた油が焦げ付いたりナイフやフォークで擦れたりしてようやく慣れたところのものでした。
以前ここで紹介した角鉢と同じ時に作った同じかたちでほぼ同じ焼け上がりの紋様違いのものです。
陶器も新品のうちはジーンズなどと同じでどこかよそよそしく馴染まないものですが日々の生活の中で使ってゆくうちに落ち着いたものへと育ってゆきます。
昔から日本では茶器でも酒器でも使いながら育ってゆくさまを楽しんだものですが、うつわが育つのは何も茶人や特別な愛陶家の場合だけでなく家庭の日常の中でもこのように普通の食器も表情を変えてゆくのです。
染みたり擦れたり縁がこぼれたり、そのようにして共に暮らしてゆくうつわが移ろうさまを眺め楽しむのもなにか東洋的な情趣のあることかとは想います。

窯から出立てのうつわをほんとうに丁寧に扱っていただくことは作り手としてはこれはこれでありがたい事には違いないのですが、むしろ本当はあまり神経質にならずに普段着のシャツのように気楽に付き合っていただきたいとも思います。
しっかり洗剤で洗い少し汚れたら漂白剤に漬けていつまでも新品同様に保つように扱われる方もあるかとは思いますが、うちではきつい油汚れなどの場合でもなければアクリルたわしかスポンジを使ってお湯で洗い流すくらいで済ませる場合が多いのです。
これはここが下水道の完備していない山間地ですので環境面の配慮でもあるのですが、うつわの健康的な成長のためにもこれは良いことのような気がします。
最初の写真は同じようなスリップウェアの皿の新品と8年ばかり使い込んだものを比べたものでこちらの皿もやはり何度もオーブン料理に用いています。
2003年のDM撮影に使ったものですが少し窯傷があったので自家用としたのです。


追記
上記のクロワッサンの大吉さんの記事やぼくのスリップウェアの写真は2012.4.5発売の『クロワッサン特別編集 ほんとうの京都』に再録されているそうです。
by slipware | 2011-04-22 02:57 | お知らせ
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