丹波のやきものは平安時代の終わり頃に始まって現代にまで続いているのですが、江戸時代になってのぼり窯と釉薬の仕事が定着し出した頃の釉はそれぞれ別の種類と調合の泥に灰を混ぜただけの赤土部と灰ダラと呼ばれる2種類が主でした。 この釉法とそれを焼く直焔式の窯は左回転の背の低い轆轤とともに日本では珍しい朝鮮系甕器の技術だと思うんです。 甕器の系譜の窯は秀吉の朝鮮侵略の乱以後に渡来した彼の地の陶工によって日本に伝えられたのだろうと思いますが、丹波の他には唐津の多々良や上野などの極く一部の窯、苗代川など薩摩の諸窯、種子島の野間と能野の窯くらいではないでしょうか。 口伝では丹波には萩の陶工との関わりがあるとのことですが、それでも九州から遠い畿内の丹波にこういう技術が伝わっていることはちょっと唐突なことのような気はします。 それから琉球は当時日本ではないのでこれは余談かもしれませんが中国南部や東南アジアからの南蛮の技術の陰に隠れてはいるものの喜納や知花から壺屋に至る荒焼の仕事にも甕器の技術が反映されているのではないかと思います。 ともかくこういう灰と泥の釉を直焔窯で焼くという仕事はすでに丹波立杭の現在の仕事ではありませんが、残された古いものを見ればとんでもなくうつくしいのです。 これは生畑に窯を築いてたぶん2度目の窯焚きのものだったと思うのですが、湯呑や皿や鉢と並んで大根おろしや土瓶や擂鉢や片口やそういう地味なもので仕事ははじまったのです。 うつくしいものが生れる方法が失われた古いやり方にあるのならそういう古い技術を今一度掘り起こして、そして今の生活に使えるものを作りたいというのがぼく自身の気持ちです。 春の草萠舎展の会場でいろいろと撮りながら途中で益子に行ってしまってそのままになっていましたのであらためまして順次紹介します。 会場のギャラリーアールは1階と2階に別れていて当初1階にスリップウェアを2階には白無地のものをというつもりでいたのですが会期直前の春の窯で白無地のものが今一つ上手く行かなかったので急遽2階には残っていた以前の窯のものからいろいろと選んで持って行きました。
by slipware
| 2008-12-23 02:20
| 食のうつわ
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