丹波立杭の清水俊彦師匠のところに居た頃は夕方5時までは師の仕事を手伝わせていただいて、5時からは何か自分なりに作って稽古してよいということだったので時には夜遅くまであれこれと作らせていただきました。 その頃は師のところの土や釉薬で作ったものや掘ってきた土や少し釉薬を合わせてみたりしていろいろと試しました。 大好きなスリップウェアの試作はもちろんやりましたが何しろ現物を手に取って見たことも無かったのでまだまだ技術的にもわからなすぎてよい結果は出ませんでした。 主にはそのころは白丹波や朝鮮の粉引や沖縄の白や唐津の白などの白掛けのものに夢中だったので白化粧や上掛けする灰の釉薬の研究をしていました。 登り窯を当時年に4回づつ焼いており、弟子に入って2年が過ぎた頃に窯の隅の空いたスペースを使ってもよいという許しが出たのでそういう場所に少しづつ置くのですから大きなものは出来ませんがぐいのみや茶碗などはそういう隙間になるべくたくさん重ねて入れさせていただきました。 焼け上がりが揃わないとこういうテストは意味を成さないので出来るだけ同じ場所に置きたかったのです。 重ね焼は師の仕事としてはしなかったのですがこういう必然で経験出来ましたし、窯の中の場所によって火の回り方が違いそれによって焼き上がりが全く違うということを実感として体験出来たのも貴重なことでした。 その頃に焼かせていただいた朝鮮時代の鷄龍山紛青風の盌ですが、本歌のように押紋に象眼するのをより簡略化して櫛で描いた後に刷毛目をして象眼しています。 丹波立杭の土に師の白化粧土を使って自分で合わせた灰釉を掛けたもの。 こういう中性炎で焼ければなかなか雰囲気の良いものが出来上がりました。 轆轤は今見れば高台の作りなどいくぶん生硬な印象を受けますがこれは当時から今までずっと茶に食事にと普段使いにしています。
by slipware
| 2008-12-16 05:48
| 茶のうつわ
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