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穴窯 2回目

昨日の昼過ぎから始めた須恵器の窯の2回目を先程焚き終えました。
初窯で選んだのとは逆の側の選択肢や実際にやってみた結果から気付いたことなどを試してみたかったのです。

前回は窯自体がまだ生の土だったこともあり、かなりゆっくりと温度を上げて1000度程になるのに全体で36時間あまりの内の23時間も掛けましたが、今回はすでに窯は焼けているのでもっと早く昇温させて逆に高温の時間を長くしました。
ほぼ30時間焼いたのですが12時間後には1000度を超しました。
時間的にも高温域を長時間掛けましたし最高温度も1272度まで上げましたしどちらの意味でもより強く焼いたわけです。
今回は窯も地面に埋もれているので窯の壁は大変分厚く冷めるのにどのくらい時間が掛かるのかはわかりません。

今回半分近くの時間はそれほど強くはないものの雨でした。
窯が濡れ、薪が濡れ、頭や背中が濡れます。
窯の上や周囲からは盛大に水蒸気が上ります。
ゆったりとした窯焚きではなかったので寝そべって背中を伸ばしたり、写真を撮ったり、ゆっくり食事したりも出来ないので泥んこになりながら30時間ずっと付きっきりは火の前に居ればそれほど寒くはないのですがやはり疲れてしまいます。
この窯は古代の須恵器の窯と同じように地面からの水分や雨の影響をまともに受けるようにしたかったので屋根が無いから傘を差しながらの窯焚きを初めて経験しましたが、これもちょっと大変でした。
うつくしいものが生れてくる背後にはうつくしいものを生まないではおかないだけの自然の摂理があったはずで、これは仕事する人間の側から言うならば言葉どおりに事に仕えることの大いなる歓びと同時に大変なことももちろんあったはずです。
昔の窯はひとりで焚いたりするわけはないでしょうが、それでも本来こんなふうにしてやきものは作り続けられてきたに違いないんです。
見えない窯の中で起っていることは畑の土の中で大根がすくすくと育つようなもので引っこ抜いてみないことにはわからないんです。
農夫にとっても陶工にとってもやっぱり収穫の結果は楽しみです。
by slipware | 2008-12-14 22:08 | 窯のこと
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