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染付 蕎麦猪口

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蕎麦猪口 白磁染付 2001年春  h:53mm d:94mm


考えてみれば先日の二寧さんの蕎麦猪口以前には案外蕎麦猪口を作ったことは少なかったのです。
こちらはたぶん独立して以来初めて作ってみた蕎麦猪口で紋様は18世紀後半頃の伊万里にでもあれば嬉しい感じの子持ち輪線です。
あの頃の伊万里ではほんとうにありとあらゆる絵柄の猪口が作られましたが、ぼくの手ではただ轆轤の上で回したうつわにそっと筆を触れさせたばかりのこんな紋様が関の山でこれ以上はなにを描いてもみすぼらしいことになってしまうに決まっています。
磁胎はやはり韓国のカオリンを用いた軟質白磁です。
二寧さんの猪口のほうは業務用の使用に耐えるためにもう少し強度の出るように調整した磁土を用いています。

盆はこの菊花紋を見れば典型的な朽木盆のように見えますがその作りと東北から出たものであることからすればやはり浄法寺系統のものではないかと思います。
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by slipware | 2009-07-26 23:18 | 食のうつわ | Trackback

象嵌青磁 花盒子

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象嵌 花盒子 1995年秋  h:89mm w:135×100mm


先日のものに続いてこちらも独立後はほとんどしていない象嵌による盒子で、立杭の修行時代に作ったものです。
高麗青磁のように胎土を彫った後に二色の泥をうめて装飾しています。
身近なひとにもほとんど話したことはありませんが安宅コレクションにあるような象嵌の高麗青磁の梅瓶や陶板などの静謐な気配に大変惹かれます。

1989年の春に兵庫県立近代美術館で「セント・アイヴス」展を見ました。
この英国の南端にある港町をテーマにした展覧会は、ここに多くの芸術家が暮らし仕事をしていたからで、アルフレッド・ウォリス、バーバラ・ヘップワースなどの美術系の人たちのものと、リーチや濱田庄司らを中心とした工芸の仕事を同時に取り上げたものでした。
この展覧会に行ったのはバーナード・リーチのエッチングやスリップウェアなど初期の仕事にとても惹かれていたからですが、実際に会場で何よりもこころを鷲掴みにしたものは彼らの仕事の糧になったものとして何点か参考出品されていた古陶磁の数々、なかでも英国のスリップウェア角鉢と瀬戸の柳紋の石皿と高麗の象嵌青磁の鉢の3点でした。
こういうものは今でも大好きにかわりありません。
古作のスリップウェアについてはそれまでにも目にしていたかもしれませんがほんとうにこころが結ばれたのはこの時です。
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by slipware | 2009-07-20 21:26 | 蓋物 | Trackback

彫紋色差 花盒子

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彫紋色差 花盒子 1995年秋  h:65mm w:77×65mm


今でも大好きながらほとんどそういうものは今の自分の仕事の表には出てきませんがやきものをはじめた最初の頃は琉球の彫紋に色を差した古い壺屋のやきものに大変魅かれていたのです。
丹波立杭で師の元にいた頃はそれで英国のスリップウェアや朝鮮の粉引のものと並んでそういうものもいろいろと実験と試作をしていました。
師匠の仕事を学びながら、夕方からは自分の好きなやきものの勉強をさせて下さっていたのです。
弟子時分の最後の窯焚きに入れていただいたこの盒子は壺屋と同じく白掛した素地を釘彫りした上に呉洲と鉄とで色を差しています。(壺屋はあるいは鉄ではなくマンガンかもしれません)
蓋には鉄泥で花の文字をスリップウェアの要領で書いていますがこういう筒描き文字はどちらかといえば丹波式で壺屋には無いやり方かも知れません。

こんな技法も上手くこなせればなかなか楽しいものが出来そうで、こういう琉球風のものを独立後にも一度かなりの数をまとめて作ったことがあるのですが、どうにも幼稚な出来映えに嫌気がして全てを打ち割ってしまいました。
先日戸棚の中からすっかり忘れていたこの盒子を見つけて、今ではかなり距離感のあるこういうものだからこそ懐かしいような気持ちとともにまたしてみたいような気がしました。
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by slipware | 2009-07-18 21:03 | 蓋物 | Trackback