カテゴリ:窯のこと( 34 )

のぼり窯

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ここで独立後今までずっと使ってきたのは焚口から煙り出しまでが筒抜けの直焔式の単室登窯でした。
これはバリバリと強い火熱が煙や灰とともに噴きつけるプリミティブな窯でしたが、魅力的な焼き上がりと引換に相当の焼け過ぎや焼けむら、焼け歪み、焼け傷なども出るものでした。
朝鮮時代の粉青、初期唐津、江戸以後の丹波など焼け味のうつくしい陶器のことごとくがこういう窯から生まれた以上は自分もこういう窯で仕事がしたいと願ったのです。
素焼き無しで釉薬を生掛けにしたスリップウェアなどの型物の多くは一方向から吹き抜ける炎でポテトチップスのように反り返りなかなかにロスも多かったのですが激しくもうつくしいこういう直焔式の窯の焼き上がりに自分は満足していました。
しかしながらこの窯の隣にはただ焼きあげるだけで精一杯のこういう窯だけではなくやはり酸化や還元をあるいは温度分布をコントロールしながら焼ける素焼きにも本焼きにも使える倒炎式の小さな窯を作りたいとも早くから計画していたのです。
この計画がなかなか実現しないままに年月が経ちようやく今月になって仕上がった時には当初つもりしたものよりもかなり大きいものになりました。
遅れに遅れた計画が実現したのは生の土を型で固めて作った直焔式の窯は修理しながら使ってきたのですがかなり痛んできたことと、去年の春から若い人が共に仕事をしながらやきものを学びに来てくれるようになったことが契機になりました。
ようやく出来上がった窯に日をおかず初窯を焚いたのが4月の16,17の両日でした。
煙突の具合などに若干の不安もあったのですが、作業は予想以上にスムーズに運びあっけないほどに順調に焚き終えたのです。
初めての窯をこの先どのように工夫しながら使いこなしてゆくかというのはこれからの課題だと思っています。
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by slipware | 2012-04-24 23:12 | 窯のこと | Trackback

穴窯 10回目

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7月26日~28日まで10回目の穴窯を焚きました。
無釉の焼締については今まではすべて強還元の燻べ焼きで須恵器にしてきましたが、今回初めて素直な酸化炎で焼く事を試してみました。
酸化とはいっても小さな穴窯のことですからそう綺麗に酸化する訳もなくやはり相当程度に灰を受け煙にまかれて変化に富んだ焼け上がりとなりました。
いくつかの土を試してみたかったのですがなかなか面白いものも出て今後が楽しみです。
写真は泥三彩のビアマグ等々。

7日からの陶器まつりには今回のものも持ってゆきます。
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by slipware | 2011-08-06 00:29 | 窯のこと | Trackback

穴窯 9回目

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昨年末25日から28日まで9回目の穴窯を焚きました。
前回に引き続き自然降灰釉の調子を確かめるのが今回も課題でした。
屋根のない野天の窯ですので30日から降った雪に埋もれてしまい窯出しが遅れましたが結果は今まで以上に窯の中で割れたものが多く出来て残念でした。
全体の半数強が破損というのは窯の経済としてあまりにも厳しいのです。
これは窯の中の湿度が十分に抜けきる前に温度が上がったためかと思いますので次回はより慎重な昇温をこころがける必要があると思いました。
往時はそうではなかったかということで山からおろしたての全く乾燥していない丸太でほぼ最終段階まで焚いたこともより湿気を送り込み続ける結果となりこの傷の多発の原因となったかもしれません。
しかしそのことは次に気をつければよいだけのことでかまわないのですが、肝心の自然釉が煮えたようになるという課題に付いては、窯焚き終了時の須恵器ならではの強還元のタイミングに問題があるのではと考えて調整したもののあまり今までとの違いがなく拍子抜けの結果になりました。
何が原因でどういう手を打てばいいのかということを今一度考え直して取り組む必要があります。
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by slipware | 2011-01-15 00:26 | 窯のこと | Trackback

2010年の秋の窯焚き

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9月30日−10月1日までのぼり窯を焚きました。
スリップウェアの小物類中心です。
写真は25センチほどのスリップウェアの裏側です。
スリップウェア類に主に使っているのは信楽の三郷山の土で、薪の酸化炎でじっくり焼けば火前には灰の自然釉が吹きつけ炎の当たったところは緋色が美しく冴えます。
スリップウェアは紋様に一番目がゆくのはもちろんあたりまえですが裏返した時の信楽土のドームもうつくしく仕上がればなおさら良いとは思うのです。
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by slipware | 2010-10-07 08:45 | 窯のこと | Trackback

窯焚き 2009春

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いろんなことがうまく行かず、予定を何度も何度も遅らせて再設定してもそれでも間に合わず、あちこちに約束の納期を守ることも出来ず、御迷惑を掛けてお待たせしていた窯焚きを5月12日から14日にかけてようやくすませることが出来ました。

写真は14日に日付が変わった頃の窯全体のものと後ろの蜂の巣と呼ばれる火噴き穴の側からのものです。
この何回かの窯焚きは窯が壊れそうに傷んでいるということもあってでしょうかこころのどこかで控えめになっていたためか奥の方で温度が上がり切らず焼け足りないしくじりを繰り返していたのですが、今度は窯が壊れても焼き切るということを念頭に、過ぎる程に焼き切るつもりで取り組んだ結果これは予想したとおりですが焼けすぎてかたちが壊れたりぶくが出たりしたものも相当にあったものの気持ちのよいくらいにしっかり焼くことが出来ました。

窯本体も相応のダメージはあったものの直せばまだ使えるくらいですみました。
窯は融け落ちて終わりになってもかまわないというつもりで思い切ってやらねばならない。
ひとは死ぬ気で全力で仕事に取り組まねばならない。
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by slipware | 2009-06-11 23:58 | 窯のこと | Trackback

穴窯 3回目

先日の雪もまだ少し残る中、夕方に3回目の穴窯の火を入れました。
温度計は5度からのスタートです。
2度目の後、また早く準備したかったのですがなかなかはかどらない事情もあり、轆轤した後もこの天候では乾燥が遅れて年内ぎりぎりになってしまいました。
須恵器をやる以上はまだ試したこともない叩きをなんとかこなさなければならないと思い、叩きというのは成形方法の一つですが、そこに不器用なぼくは予想以上に手間取ったのです。
今回も初窯の時と同じくやはり充分乾燥しないままの窯詰めになりましたのでゆっくりとした慎重なあぶりが必要ですが、予定では順調に行けば大晦日の朝には終わって仕事納めです。

皆様、どうぞよいお年をお迎えください。
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by slipware | 2008-12-29 20:48 | 窯のこと | Trackback

穴窯2回目の窯出し

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2回目の穴窯がようやく冷めて出しました。
やはり天井まで土に埋め込んだ地下式の窯にしたので放射冷却がなくてなかなか冷めませんでした。
14日の18時に1272度の高温まで上げてから大量の薪を入れて焚き口を閉じて泥を塗りこれで一気に同10分には942度まで下がりました。
煙突からの炎と濃い黒煙が治まるのを待って18時45分に煙突を閉じた地点では900度でした。
ここから冷めるのにかなり時間がかかって、15日の朝6時45分には472度、16日の18時45分には188度、17日同時は100度、そして18日の正午にようやく63度で窯を開けました。
これだけ徐冷する窯なら須恵でなくても信楽などの綺麗な緋色もとれそうな気がします。
写真は焚き口のレンガをはずしたところです。

前回と変わった主な点は、土を少し工夫して調整したこと、しっかり乾燥させてから窯に入れたこと、底に目を付けるのを止めて砂を撒いた上に直置きして窯詰めしたこと、いくつか重ねて焼いたこと、より強く焼いたこと、最後に大量にくべた薪がある程度燃えるのを待ってから窯を密閉したことなどです。

やはり駄目だったこと、よかったこと、よいながらにもう一工夫必要なことなど次ぎに活かします。
かなり焼き込んだのでかたちが崩れたり土が煮えたりしていないかとも思っていましたが案外大丈夫そうでしたが、砂に置いたものも砂が融け気味で窯床に焼け付いてうまく外れないで割れたものが多々ありました。
重ね焼きも外れないものがあり割れてしまいました。
そしてやはり底切れが大量に出たのですがこれは乾燥段階でも切れ出したのが少なくなかったのでやはり底を削らないベタ底の轆轤仕事に無理があることもあるでしょうが、むしろ土揉みをもう少し丁寧にやる必要がありそうです。
今回のタイミングで窯を閉じた結果は炭素の膜はかなりましのようです。
品物は灰の灰汁に浸けたのでまた砂で洗ってからよいものがあれば後日紹介したいと思います。
もう早く次が焼きたいという気持ちになっています。
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by slipware | 2008-12-18 17:02 | 窯のこと | Trackback

穴窯 2回目

昨日の昼過ぎから始めた須恵器の窯の2回目を先程焚き終えました。
初窯で選んだのとは逆の側の選択肢や実際にやってみた結果から気付いたことなどを試してみたかったのです。

前回は窯自体がまだ生の土だったこともあり、かなりゆっくりと温度を上げて1000度程になるのに全体で36時間あまりの内の23時間も掛けましたが、今回はすでに窯は焼けているのでもっと早く昇温させて逆に高温の時間を長くしました。
ほぼ30時間焼いたのですが12時間後には1000度を超しました。
時間的にも高温域を長時間掛けましたし最高温度も1272度まで上げましたしどちらの意味でもより強く焼いたわけです。
今回は窯も地面に埋もれているので窯の壁は大変分厚く冷めるのにどのくらい時間が掛かるのかはわかりません。

今回半分近くの時間はそれほど強くはないものの雨でした。
窯が濡れ、薪が濡れ、頭や背中が濡れます。
窯の上や周囲からは盛大に水蒸気が上ります。
ゆったりとした窯焚きではなかったので寝そべって背中を伸ばしたり、写真を撮ったり、ゆっくり食事したりも出来ないので泥んこになりながら30時間ずっと付きっきりは火の前に居ればそれほど寒くはないのですがやはり疲れてしまいます。
この窯は古代の須恵器の窯と同じように地面からの水分や雨の影響をまともに受けるようにしたかったので屋根が無いから傘を差しながらの窯焚きを初めて経験しましたが、これもちょっと大変でした。
うつくしいものが生れてくる背後にはうつくしいものを生まないではおかないだけの自然の摂理があったはずで、これは仕事する人間の側から言うならば言葉どおりに事に仕えることの大いなる歓びと同時に大変なことももちろんあったはずです。
昔の窯はひとりで焚いたりするわけはないでしょうが、それでも本来こんなふうにしてやきものは作り続けられてきたに違いないんです。
見えない窯の中で起っていることは畑の土の中で大根がすくすくと育つようなもので引っこ抜いてみないことにはわからないんです。
農夫にとっても陶工にとってもやっぱり収穫の結果は楽しみです。
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by slipware | 2008-12-14 22:08 | 窯のこと | Trackback

初窯 窯出しの後始末

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登り窯の場合も窯出しのあとはうつわの底に付けたりあるいは重ね焼をした見込みに残った目を取って砥石をあてたり、中に積もった灰を洗い流したり、薪に近いところにあったものはやはり炭素の膜が張っている場合もあるのでこれを剥がしたりという作業があります。
今回の窯は最後の強還元が効いて全てのものは炭素の膜で覆われて出て来たのでこれを剥がさなければなりません。
これがなかなか大変な作業で軽く水洗いで取れる部分もあるのですがいくらがんばってもなかなか取りきれない部分も少なくないのです。

今日は日差しはあったもののひどく寒い日で風も吹いていました。
そんな中での水仕事はなんともたまらない気になります。
軍手をしてたわしでいくらごしごし擦ってもなかなか取れはしないので半分程やってとうとう嫌になりここ数年もっぱら須恵器を焼いている友人の清水善行さんに電話して相談しました。
しばらく雨ざらしにしておくとか灰汁に浸けるとかお湯で炊くとか何かぼくの知らないいいやり方やコツがあるのではないかという気がしたのです。
彼が言うには確かにこの膜の問題は厄介なことで、数年雨ざらしにしても取れないそうで、擦るのもたわしくらいでは無理なので荒手のスポンジに細い砂を付けて擦るとのこと。
そんなことをすれば土肌も自然釉も傷だらけにならないかという気がするのですがそうでもしないととても取れないしそうやっても取れない部分は取れないと言います。
むしろ焼く時になるべく膜が張らないようなやり方を工夫しているとのことでした。
確かに今回のぼくの燻べ方は度の過ぎたものでした。
これは次に生かすしかないので今回のものは信楽の原土を漉した時に残った砂を軍手で力いっぱい擦り付けて剥がしました。
たわしよりは余程力も入るし細い部分にも行き届いてはかどるもののやはり取れない部分はどうにも取れません。
冷たい水に手がかじかんで痺れて感覚が無くなっているので破れた軍手を丸めて掴んで擦り付けてはいるものの気が付けばそれさえ破れてしまって指が直接当たって血が出たりしてもわからない。
ひとつひとつ時間をかけて仕上げながら洗って板に並べたものを手に取ろうとするとどういうわけかぴったり板にくっついて取れないのでいったい何がおこったのかと思ったらしっかり凍りついて固まっていたのです。
どうにか出来る限りのことをしてそれでも取れない分は試しにいくつかづつを灰の灰汁に漬け込んだり重曹で炊いて明日まで置いたりしてみることにしました。

数年前に東京の作陶家、吉田明さんのミニ窯の本を見て湯呑が4つか5つ程入る極く小さな穴窯を作り繰り返し何度も焼いて須恵器は実験していて焼成技法としてはそれなりの目処は立っていたのですが、その窯はどうしてもそのままで1000度程までしか温度が上がらず最後はヘアドライヤーの送風で強制的に酸素を送り込んでやはりかなり細かくした薪を激しく燃やして温度を上げていました。
それが嫌でなんとか自然の対流で焼ける最小限のものをと考えたのが今回の窯だったのですが、初窯も肝心の焼き上がりはなかなか満足の行くものでした。
結果は膜剥がしの作業などをもう少し根気よくやってからまたここで紹介したいと思っています。
清水さんのように数か月の仕事を一回の窯に掛けていてはなかなか実験もしにくいでしょうが自家の窯は轆轤すれば数時間の仕事で埋まるほどのものなので、次回もまた近いうちに焼き方をかえて試してみたいと思います。
自分でも驚くのですが窯を作りはじめてからでさえひと月と掛からないで初窯を焚いたのです。

午前中に窯から出した燠は全く火鉢の炭のようにしっかり火が起きて、夕方に玄関のたたきに持って入りかじかんだ手を温め、網を出してトーストを焼きました。
日付も変わった7日の今になってもまだまだ家を暖かくしてくれています。
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by slipware | 2008-12-07 01:21 | 窯のこと | Trackback

初窯 2008.12.6/12:50

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まだまだ熱い燠のたまっていた火床が入れるくらいに冷めるのを待ってからまだ暖かい窯にもぐり込んで焼けたうつわを出しました。
土の性質もそれほど強くはないものだし高温域の時間もそれなりに掛けて焼いたので予想通りにかなり固く焼け締まっています。
ただしこのように燻べて焼けば炭素の皮膜に覆われるのでまだこのままではどんな感じなのかははっきりとはわかりません。
写真は窯から出した直後の状態です。
この黒くぎらぎらと光る炭素の皮膜を洗い落とさなければ土の表情は見えないのです。

それはそうと今回コップが16点と鉢が10点入っていたのですがそれぞれ9個と6個のものの底に傷が入りました。
こういうふうに底が切れるのは轆轤の時に土の締めが悪いか、底ばかりが分厚すぎるか、あるいは急乾燥が過ぎるかなどの可能性が考えられます。
いくら自分の轆轤が上手でないとしてもこれはいくら何でも傷が出過ぎで、やはり濡れたままのものを窯に入れてあぶったためではないかと思われます。
あれだけ慎重にあぶったのに、という気はしますが、もしかしたら側面は乾いても底は窯床からの湯気が相当後まで上がり続けたためにいつまでも乾かなかったのではないかという可能性もあるかとは思います。
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by slipware | 2008-12-06 18:41 | 窯のこと | Trackback